在宅ワークが定着し、自宅の作業環境をアップデートしたいと考える会社員は多い。その中で、デスク周りの環境改善アイテムとして必ず名前が挙がるのが「モニターアーム」である。
しかし、いざ購入を検討してみると「そもそもモニターアームは本当に必要なのか」「付属のスタンドでも十分ではないか」と迷うのではないだろうか。
本記事では、モニターアームの基本的な仕組みから、在宅ワークで導入するメリット・デメリット、そしてどのような人に必要であるかを徹底的に解説する。モニターアームの必要性について悩んでいる人は、ぜひ参考にしてほしい。
モニターアームとは
モニターアームとは、パソコン用のモニター(ディスプレイ)を支え、空中に固定するためのアーム状の器具である。通常、モニターを購入すると据え置き型の台座(スタンド)が付属しているが、そのスタンドを取り外し、代わりにモニターアームを装着して使用する。

多くの場合、モニターの背面には「VESA規格」と呼ばれる国際標準規格のネジ穴が設けられており、この規格に対応したモニターアームであれば、メーカーを問わず取り付けることが可能である。
モニターアームを机に固定する方法としては、机の天板を上下から挟み込む「クランプ式」が主流である。他にも、机に開いた穴を利用して固定する「グロメット式」や、壁に直接ネジ止めする「壁掛け式」などがあるが、賃貸住宅や一般的なデスク環境であれば、机に穴を開けずに設置できるクランプ式が選ばれることが圧倒的に多い。
アームの関節部分には、ガススプリング式やメカニカルスプリング式などの機構が内蔵されており、重いモニターであっても軽い力で上下左右に動かせる仕組みとなっている。
モニターアームは必要?結論
「モニターアームは必要なのか」という問いに対する結論から述べよう。長時間の在宅ワークやデスクワークを行う会社員にとって、モニターアームは間違いなく必要性の高い、必須級のアイテムであると言える。
なぜなら、モニターアームを導入するだけで、作業スペースの確保と身体的疲労の軽減という、デスクワーカーが抱える2つの大きな課題を同時に解決できるからである。
確かに、モニターに付属している純正スタンドでも画面を映すことは可能だ。しかし、純正スタンドはただ置くだけの機能しか持たないことが多く、高さや角度の調整範囲が極めて限定的である。結果として、自分に合わないモニター環境に身体を合わせることになり、作業効率の低下や慢性的な疲労を引き起こす原因となる。
仕事の生産性を高め、快適なデスク環境を構築したいのであれば、モニターアームを導入する価値は非常に高いと言い切れる。
モニターアームを導入するメリット
ここからは、モニターアームを導入することで得られる具体的なメリットを4つに分けて解説する。
デスクスペースが広くなる
モニターアーム最大のメリットは、机の上のスペースを圧倒的に広く使えることである。
純正のモニタースタンドは、モニターが倒れないようにするため、大きくて重量のある台座を必要とする。この台座が机の奥のスペースを大きく占有してしまい、書類を広げたり、キーボードを奥に押しやったりする際の邪魔になることが多い。
モニターアームを使えば、モニターは空中に浮いた状態となり、机との接点はアームの根本部分(クランプ部分)わずか数センチ四方のみとなる。今まで台座に占領されていたモニター下のスペースが完全に空くため、そこにスピーカーを置いたり、使わないキーボードを収納したりと、机の上の空間を立体的かつ有効に活用できるようになる。
姿勢が改善する
長時間のデスクワークにおいて、正しい姿勢を保つことは極めて重要である。モニターアームを導入すると、目線に合わせた最適な高さにモニターを配置できるため、劇的な姿勢改善効果が見込める。

純正スタンドの場合、高さが足りずにどうしても目線が下を向いてしまうことが多い。目線が下がると、自然と頭が前に出て背中が丸まり、いわゆる「猫背」や「ストレートネック」の状態に陥る。これが肩こり、首の痛み、腰痛の直接的な原因となる。
モニターアームであれば、自分の座高や椅子の高さに合わせて、ミリ単位で高さを調整できる。画面の上端が目線と同じ高さになるように設定すれば、自然と背筋が伸び、首や肩への負担を大幅に軽減することが可能である。
モニター位置を自由に調整できる
状況に応じてモニターの位置を自在に変更できるのも、モニターアームならではのメリットである。
例えば、表計算ソフトで細かい数字を確認する時はモニターを手前に引き寄せ、動画を見たりリラックスしたりする時は奥に押しやる、といった使い方が片手で簡単にできる。また、光の反射が気になる時間帯には、画面の角度(チルト)を少し変えるだけで快適な視認性を確保できる。
さらに、多くのモニターアームは画面を90度回転させる機能(ピボット機能)を備えている。プログラミングのコードや、縦長のWebサイト、PDF資料などを閲覧する際には、モニターを縦向きにすることで、一度に表示できる情報量が格段に増え、スクロールの手間を省くことができる。
デュアルモニター環境を作りやすい
在宅ワークの生産性を上げるために、2台のモニターを並べる「デュアルモニター」環境を構築している人も多いだろう。このデュアルモニター環境においてこそ、モニターアームの真価が発揮される。
2台のモニターを純正スタンドで机の上に並べると、台座だけで机の大部分が埋め尽くされてしまう。また、異なるメーカーやサイズのモニターを並べた場合、スタンドの高さが合わず、画面の間に段差ができて見栄えも使い勝手も悪くなる。
デュアル用のモニターアーム(あるいはシングルアームを2本)を使用すれば、2つの画面を隙間なくピタリと並べたり、上下に配置したりと、思い通りのレイアウトが可能になる。机の上はすっきりしたまま、広大な作業領域だけを手に入れることができるのである。
モニターアームのデメリット
モニターアームには多くのメリットがある一方で、導入前に知っておくべきデメリットも存在する。購入後に後悔しないよう、以下の点には十分に注意する必要がある。
設置スペースが必要
モニターアームは、アームの関節部分を折りたたんだり伸ばしたりすることで画面の位置を調整する。そのため、モニターを机の奥まで押し込もうとすると、アームの関節が机の背面に大きく出っ張る構造になっている製品が多い。
もし、机を壁にぴったりとくっつけて配置している場合、アームの出っ張りが壁に干渉してしまい、モニターを希望の位置まで下げられない、あるいは奥に押し込めないという事態が発生する。モニターアームを快適に使うためには、机と壁の間に数センチ〜十数センチ程度の隙間を空ける設置スペースが必要となるケースがあることを覚えておきたい。
机によっては設置できない
モニターアームは、いかなる机にも必ず取り付けられるわけではない。特にクランプ式で固定する場合、机の天板に一定の強度と厚みが求められる。
例えば、天板がガラス製の場合、アームの重みとクランプの圧力でガラスが割れてしまう危険性があるため、設置は推奨されない。また、天板の中が空洞になっているハニカム構造の安価な机も、圧力がかかると天板が陥没する恐れがある。
さらに、天板の裏側に金属製の補強フレームが走っている机や、天板の縁に十分な奥行き(挟み込むためのスペース)がない机の場合、クランプを取り付けることが物理的に不可能である。購入前に、自分の机の仕様や形状をしっかりと確認することが不可欠である。
安い製品は安定性が低い
モニターアームの価格帯は数千円から数万円までと幅広いが、あまりにも安価な製品を選ぶと、安定性の低さに悩まされることになる。
粗悪なモニターアームは、関節部分の保持力が弱く、タイピングのわずかな振動で画面がグラグラと揺れてしまったり、時間が経つとモニターの重みで勝手に画面が下を向いてしまう(お辞儀してしまう)ことがある。また、アームを動かす際に引っかかりがあり、スムーズに位置調整ができないといったストレスも生じやすい。
重いモニターを安全に長期間支え続けるアイテムであるため、ある程度の予算を確保し、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要である。
モニターアームが必要な人
ここまでのメリット・デメリットを踏まえ、モニターアームが特に必要と言えるのは以下のような人である。
- 週に複数日、在宅ワークを行っている人
- 1日の中でパソコンに向かっている時間が長い人
- 肩こり、首の痛み、腰痛などの慢性的な疲労に悩んでいる人
- デュアルモニター(2画面以上)環境を構築している人
- デスクが狭く、書類や筆記用具を広げるスペースが足りない人
- プログラミングや文章執筆など、縦長画面を有効活用したい人
作業環境への投資は、そのまま自分自身の健康とパフォーマンスに直結する。上記に一つでも当てはまるのであれば、モニターアームの導入を強く推奨する。
モニターアームが不要な人
一方で、以下のような人にとっては、モニターアームの必要性は低いと言える。
- 作業のほとんどをノートパソコン単体で完結させている人
- 外部モニターを使用しているが、一度設置した位置から全く動かす予定がない人
- 使用しているモニターが高性能なスタンド(高さや角度調整が自由なもの)を標準装備している人
- ガラステーブルなど、モニターアームを安全に固定できない机を使用している人
無理に導入しても効果を実感しにくいため、現在の環境に不満がない場合は、急いで購入する必要はない。
在宅ワークならモニターアームは導入価値が高い理由
会社に出社して働くのとは異なり、在宅ワークでは限られた自宅のスペースをいかに効率の良い作業場に変えるかが大きなテーマとなる。
オフィスには広々としたデスクや高機能なオフィスチェアが用意されているかもしれないが、自宅のデスクはコンパクトなサイズであることも多い。その限られたスペースを最大限に活かすための最も手軽かつ効果的な手段が、モニターを空中に浮かせることである。
また、在宅ワークではプライベートと仕事の切り替えが難しくなりがちだ。モニターアームがあれば、仕事が終わった後はモニターを端に退けて机の上を片付け、趣味や食事のスペースとしてすぐに転用できる。空間を柔軟にコントロールできる点こそ、在宅ワーカーにとってモニターアームの導入価値が高い最大の理由である。
おすすめのモニターアーム

モニターアームの必要性を理解し、いざ購入しようと思っても、AmazonなどのECサイトには無数の製品が並んでおり、どれを選べば良いか迷ってしまうはずだ。
前述の通り、安価すぎる製品は安定性に欠けるため避けるべきである。初めてモニターアームを導入するのであれば、多くのユーザーから高く評価され、耐久性や操作性に実績のある「定番の人気モデル」から選ぶのが最も安全で確実な選択と言える。
自身の用途や予算に合った最適な一台を見つけるために、以下の「モニターアームおすすめ10選」の記事をぜひ参照してほしい。信頼できるブランドの製品を中心に、選び方のポイントとともに詳しく解説している。

まとめ
本記事では「モニターアームは必要か」という疑問に対し、在宅ワークにおける導入のメリットとデメリットを詳しく解説した。
- モニター下を有効活用でき、デスクスペースが劇的に広くなる
- 最適な高さに調整でき、正しい姿勢を維持しやすくなる
- 用途に合わせて位置や角度、縦横の向きを自在に変えられる
- デュアルモニター環境をスマートに構築できる
設置スペースの確保や、机への適合性といった注意すべきデメリットはあるものの、それらをクリアできる環境であれば、得られるメリットは計り知れない。
毎日の在宅ワークをより快適で生産性の高いものにするために、モニターアームは間違いなく投資する価値のあるアイテムである。デスク環境の改善に悩んでいるのであれば、ぜひこの機会に導入を検討してみてはいかがだろうか。

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